千葉県職員が障害者を拉致・監禁…?犯罪事件として警察が県庁を捜査中。全国的な問題になる可能性も
千葉県庁職員が障害者を虐待し千葉県県警本部が捜査を実施中との情報がありました。
全国的にも波及しかねない問題を含んでおり、深刻な事件ですので記事にします。
1.千葉県庁障害福祉課職員が、社会福祉法人柊の郷を利用する障害者に対して、拉致・監禁を行った。
◆千葉県庁
平成27年11月26日、千葉県庁職員は社会福祉法人柊の郷に対し、事前連絡なしの立入調査を実施し、施設を利用する未成年の障害者、言葉を話せない障害者を含む3名を施設外に連れ出した。
●当然、連れ出しの対象となる障害者は何の犯罪も犯していない方々です。
千葉県庁職員は、連れ出す対象の障害者には「未成年者」や「言葉を話せない者」が含まれているにもかかわらず、障害者本人や保護者の同意を一切得なかった。
千葉県庁職員は施設外に連れ出した障害者を一人ずつ取調べ場所に入室させた後、保護者の立ち合いを許さない密室の状況で、千葉県庁の男性職員複数名と対峙させ、録音を事実上強制して長時間の取調べを実施した。
●仮に法人の職員が千葉県庁と同じことを行っていたら即障害者虐待として処罰されます。
◆社会福祉法人柊の郷(http://www.hiiragi.or.jp/)
2.拉致・監禁の被害を受けた3名は重度の知的障害を有し、未成年の子供や言葉を話せない障害者も含まれていた。
※障害支援区分イメージ図(筆者作成)
「今回対象とされた3名の利用者、一人は知的障害程度区分4の21歳の女性、もう一人は知的障害程度区分5の19台女性、もう一人は知的障害程度区分5の20歳の男性ですが、ダウン症を患っており言葉を話すことができないような方だということです。」
● 今回の件に関する千葉県議会での質問追求内容より引用(森岳県議の発言)
3.県庁の拉致監禁が原因で、被害を受けた障害者は号泣した後、首を絞める自殺未遂を引き起こし、PTSD等を発症して現在でも怯えて暮らしている。
千葉「取調べを受けた利用者のうち、1名は「反応性抑うつ反応」という診断を受けまして、その日の夜には自らの首を絞めるという自傷行為を行いまして、1年を経過した現在においてもスーツ姿の男性を見ると不安定な精神状態に陥るという状況であります。
● 今回の件に関する千葉県議会での質問追求内容より引用(森岳県議の発言)
千葉県庁の取調べにより被害を受けた障害者は、恐怖感・不安感から当日の夜に首を絞めた。
それ以降も県庁職員のことを思い出して不安定になるなど、医師からPTSDの診断を受け、一年以上経過した現在でも怯えて暮らしている。
4.平成29年3月5日の時点で、千葉県警本部が千葉県庁に対する犯罪捜査を現在進行形で実施している。罪名は公務員職権濫用罪(刑法193条)とのこと。
◆千葉県警本部
千葉県庁への捜査が進行中
罪名:公務員職権濫用罪(刑法193条)
平成28年10月5日、社会福祉法人柊の郷は千葉県庁職員を「公務員職権濫用罪(刑法193条)」で刑事告発し、同日千葉県警本部にて告発状が受理された。
平成29年3月5日時点で、千葉県警本部は千葉県庁に対し、県庁職員に対する事情聴取と裁判所の令状に基づく証拠物の差押えを実施している。現在進行形で捜査が進められている状況。
●令状に基づく差押えは強制捜査であり、相手方に拒否権はありません。
『裁判所の令状に基づく証拠物件の差押え』とは、警察が千葉県庁から強制的に証拠書類等を押収する強制処分、いわゆるガサ入れであり、任意に書類等の提出を求めることではありません。
これは公正な立場にある裁判所が今回の事件が…重大な犯罪事件であると判断したからこそ実施されたのです。
5.この事件は千葉県議会でも障害者の「拉致・監禁」「虐待」ではないかと追及された。
◆密室の取調室(イメージ図)
●県職員複数名がこのような密室で障害者に対して取調べをしたということでしょうか?
平成29年2月22日:千葉県健康福祉常任委員会・森岳県議の質疑①
「拉致・監禁で虐待ともとられかねない事案じゃないかなと考えております。」
平成29年2月22日:千葉県健康福祉常任委員会・森岳県議の質疑②
「今回のケースにおいては、そもそも話すことができない障害者であったり、未成年の障害者をですね、保護者の許可なく施設外に連れ出すということがですね、課長の決済の権限内で許されることなのでしょうか。」
平成29年2月22日:千葉県健康福祉常任委員会・森岳県議の質疑③
「障害を抱えた方々に対して密室で更に録音されたうえでですね取調べが行われたということに対して、どのように心理的負担に対する配慮がなされたのか、自信をもって適正であったと言える状況であったのか」
6.千葉県は、行政職員が未成年者や言葉を話せない障害者を本人や保護者の同意なく連出すこと、保護者を立ち会わせない密室で障害者の発言を録音することは問題ないとの立場。
平成29年2月22日:千葉県健康福祉常任委員会・障害福祉課長古屋勝史氏の答弁
「今回の事案についても、適切に行われたものと認識しております」
●上記答弁は、森岳県議による「未成年の障害者」「言葉を話せない障害者」を保護者の同意なく連出すことが問題ではないか?との質問に対する回答です。
●許否の意思表示のできない障害者や未成年の障害者、保護者の同意なく行政の判断だけで連出すことが本当に許されるのでしょうか?
7.千葉県では3年前にも県が運営管理する施設の職員が障害者虐待を行い死亡者を出しており、今回も千葉県警本部の捜査により「行政による障害者虐待」として重大問題に発展しかねない。
「暴行には男性職員5人がかかわり、この少年とは別に9人の入所者にも暴行があった。」
● 2013年に発生した千葉県立の施設職員による障害者虐待死事件です。
● 今回、千葉県庁が社会福祉法人柊の郷を利用する障害者に対して行った拉致・監禁行為は、自殺未遂を引き起こすまでに至っており、一歩間違えれば死者が出ていてもおかしくありません。
● 3年前の事件に引き続いて生じた事件であり、千葉県庁内部の人権意識にも疑問が持たれます。
8.障害者総合支援法48条1項の解釈の関係で、全国の障害者が県警する問題に発展することが予想される。
「障害者総合支援法第48条1項を根拠に、施設利用者を施設外に連れ出して取調べを行った」
● 千葉県議会での森岳県議による追及質問より引用
● 障害者総合支援法第111条1項
「第四十八条第一項…の規定による…質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。」
9.事件の詳細な経緯(柊の郷保護者会のtwitterより引用)
千葉県庁職員は、連れ出す対象の障害者には「未成年者」や「言葉を話せない者」が含まれているにもかかわらず、障害者本人や保護者の同意を一切得なかった。
⑧
社会福祉法人柊の郷は千葉県庁に対し、弁護士経由で障害者の受けた被害状況に関して抗議・通知を行ったが、千葉県庁からの返答はなされていないとのこと。 社会福祉法人柊の郷は、千葉県庁職員が再度障害者への取調べを実施する可能性があったため、平成28年10月5日に千葉県庁職員を公務員職権濫用罪(刑法193条)で刑事告発し、同日千葉県警本部にて告発状が受理された。
⑩
刑事告発が受理された後、千葉県警本部により千葉県庁職員に対する事情聴取が実施されている。
⑪
平成29年2月22日:千葉県健康福祉常任委員会にて、森岳県議が千葉県庁障害福祉課に対し、今回の事件は障害者に対する拉致・監禁で虐待ではないかと追及した。
10.最後に
千葉県警本部が動いており今後の捜査の進展が待たれるところです。
しかしいくら何でも、罪を犯してもいない未成年者や言葉を話せない障害者に対して、千葉県庁さんの行った行為は行き過ぎではないでしょうか?
障害者総合支援法48条1項の解釈に関しては私の運営する法人も他人事ではなく、全国の障害者に関係することなので、今後も注視していきたいと思います。